1・2月で読んだ本
年始に「月2冊以上、本を読む」という目標を立てた。1、2月を経て、目標通り継続できているので一旦振り返りたい。今回は5冊。
①『命売ります』三島 由紀夫
主人公は、自殺しそこなった男・羽仁男。始まりから終わりまでの、羽仁男の変化が面白い。「命売ります」と新聞に広告を出すような人間には、まともなことが起こらないだろうと予想ができるけど、その予想を上回る驚きの展開があった。たしか帰省の飛行機の中で読んでいたら、「エッ」と声を出して驚いてしまった場面があった。
②『噛みあわない会話と、ある過去について』辻村 深月
収録されている4作すべて女性を取り巻く人間関係の話だった。どれも、昔の出来事が今の状況に繋がって、ドキっとしたりハラハラしたりするストーリー。
自分自身にも身に覚えがある類の、人との関係の中で生まれる緊張が続き、小説の話なのにもかかわらず肝を冷やす。
③『もうひとつのワンダー』R・J・パラシオ
映画『ワンダー 君は太陽』を夏に観たから、読んでみた。児童書『ワンダー』のスピンオフ作品で、映画の主人公オギーのクラスメイトたち3人の視点からのストーリー。
恐らくこの作品を読んだ人の多くが、ジュリアンのおばあちゃんの話が印象に残っていると思う。子どもにも子ども向けの易しい言葉を使わず、自分のファッションを貫くカッコいいおばあちゃんが、困難を乗り越えようとするジュリアンにだけ明かした昔話が感動的なのだ。
それから「優等生キャラ」のシャーロットがスクールライフをがんばる話は、(おそらく)元優等生の自分も共感できる部分が多く、懐かしい気持ちになった。
④『鍵のない夢を見る』辻村 深月
またもや辻村作品、そして今度も女性を取り巻く5つの短編集。
出てくる人々に対して「うわあ、どうしてそんなことするかな!」と言いたいが、どれも現実に存在しそうな人物なのが怖い。たしかすべて犯罪が関わっている話だったから、全体的に暗くドロドロとした感じで、読み終わったころには疲労感がある。好き嫌いあるかもしれぬ。
⑤『暗いところで待ち合わせ』乙一
記憶が定かではないけど、数年前に友人に勧められて買った本だったと思う。申し訳ないが読み止しのまま本棚に置いていたので、この度発掘して読んだ。
読み直してみて、なるほど昔の自分が読み終えなかった理由がわかった。盲目の女性と、彼女の家に潜む男の物語で、本当に「静か」なストーリーだから、なんだか眠くなるのだ。
だけど眠気に抗いながら読み進めていくと、なかなか面白い展開があった。